【補助金とは?】超わかりやすくザックリ解説

「補助金って国からお金がもらえるらしいけど、どうやったらもらえるの?」
「補助金と助成金ってどう違うの?」
と、いった疑問をお持ちの方々も多いのではないでしょうか?

その一方で、補助金を活用して事業拡大や生産性向上に取り組んでいる事業者も数多く存在します。知らないと大損してしまう補助金について、今回はポイントを抜き出して、わかりやすく解説していきます。

今回の開設は2022年3月28日時点で公開されている情報をもとに作成しています。各補助金の申請条件などは今後変更になる可能性があることをご承知おきください。また、わかりやすさを優先するため細かな条件については割愛している部分があります。実際の補助金申請にあたっては、各補助金の公募要領をしっかりとご確認の上、申請可能がどうかご検討ください。

補助金とは

補助金は、国や自治体が事業者の取り組みをサポートするために、資金の一部を給付する制度です。目的や趣旨によって、さまざまな種類の補助金が募集されています。それぞれの補助金の趣旨を確認し、自社の事業目的にあった補助金を活用することで、事業拡大や収益向上につなげていくことが可能となります。

補助金の特徴

補助金を活用するためには、補助金の特徴を正しく理解しておく必要があります。次の5つのポイントは特に重要なことなので頭にいれておきましょう。

1. 申請資格がある

補助金ごとに、補助対象者(申請資格者)が定められています。多くの補助金では、大企業に対して資金的に不利な中小企業や小規模事業者を対象としています。法人だけではなく、個人事業主も対象としている補助金が多いですが、法人形態や業種などで対象外を設けている場合もあるため、申請前には「補助対象者」の要件を公募要領で確認する必要があります。

中小企業や小規模企業については、中小企業基本法という法律で定義されています。中小企業者の定義は、各業種ごとに資本金または常時使用する従業員数が一定値以下である会社または個人とされています。

中小企業基本法による中小企業の定義
業種 資本金 従業員数
製造業その他 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業 5000万円以下 100人以下
小売業 5000万円以下 50人以下

また、小規模企業者とはおおむね常時使用する従業員数が20人以下(商業またはサービス業の場合は5人以下)の会社または個人事業主とされています。
補助金によって、上記定義とは別の条件が適用されるケースもありますので、自社が中小企業または小規模事業者に当てはまるのかは各補助金の公募要領で確認しましょう。(特に、旅館業、ソフトウェア業または情報サービス業、ゴム製品製造業などは例外業種として定義されているケースが多いです。)

その他、資本金・従業員数では中小企業の枠に収まっていても、大企業の子会社などは、「みなし大企業」として補助対象外となる場合があります。

2. 費用の全額が支給されるわけではない

補助金は、補助対象経費の全額が支給されるわけではなく、補助率や補助上限額が決まっており、費用の一部が補助金として支給されます。

例えば補助率1/2、補助上限額1000万円の場合、

  1. 補助対象経費が700万円の時は、補助金として350万円が支給され、残りの350万円は自己負担となります。
  2. 補助対象経費が2500万円の時は、補助金として1000万円が支給され、残りの1500万円は自己負担となります。

補助率や補助上限額は、補助金ごとに異なり、また同じ補助金であっても従業員数や会社規模で変わる場合があります。

補助金をもらえるから事業を行うのではなく、自社で行う事業に補助金が活用できるかどうかを十分に検討しましょう。

3. 審査があり、必ずもらえるわけではない

給付金や助成金(雇用調整助成金など)は受給資格を満たし申請すれば原則支給されますが、補助金には審査があり、申請したとしても必ず受給できるわけではありません。補助金には公募期間というものが設定されており、その期間内で申請に必要な書類をそろえ申請します。補助金の応募件数は、採択可能な予算・件数を上回るため、申請書類の中で、自社の申請内容がいかに優れているかをアピールしなければ採択されません。採択率は補助金の種類によっても異なりますが、30~70%程度の場合が多いように思われます。

4. 補助金の支給は原則後払い、最初に自己資金が必要

補助金が採択された場合でも、すぐに補助金が受給できるわけではありません。補助金申請をした補助対象経費の支払いをすべて完了し、確定検査を受けて初めて補助金が支給されます。そのため、補助金申請前に、手元資金が足りるのか、金融機関からつなぎの融資を受けられるのかを十分に検討しておく必要があります。

5. 実績報告が必要

補助金採択後、補助金を受給するまで、事業にかかった経費などを厳格に管理し、その実績を報告する必要があります。事務処理が正しく行えていないと補助金が支給されない場合があります。また、補助金受給後も、補助金によって行った事業の実績・効果などを報告する必要があります。その他、補助金申請時の要件通りの事業運営を行えていない場合は補助金の返還を求められる場合もあるため、適正に事業管理・事務処理を行える体制を整える必要があります。

主な補助金の紹介

補助金には、様々な種類があると書きましたが、多くの中小企業や小規模事業者で活用しやすい4つの補助金について紹介します。(公募内容は随時変更となる場合があります。申請時には各補助金のホームページから最新の公募要領を必ずご確認ください。)

小規模事業者持続化補助金(一般型)

小規模事業者(従業員数20人以下、商業またはサービス業の場合は5人以下)が、事業計画を作成して行う販路開拓などの取り組みにたいして支給される補助金です。機械装置の購入、チラシ作成、ホームページ作成、展示会への出展などの費用が補助対象です。通常枠では補助率2/3、補助上限額50万円となっています。(75万円の費用の内、補助金として50万円が支給されます。)

 これまではホームページ作成のために持続化補助金を申請するケースが多数ありましたが、2022年度の公募要領ではウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4が上限となりました。(つまりホームページ作成のみの目的での補助金申請ができなくなりました。)

事業を営む場所が商工会または商工会議所のどちらが管轄であるかにより、申請先が異なります。

2022年度は以下の5つの特別枠が新設されました。特別枠は補助上限額が100万円~200万円と優遇されています。特別枠にはそれぞれ申請要件がありますが、追加の自社の取組みが特別枠に該当する場合は、通常枠ではなく特別枠で申請することを検討した方が良いです。

  • 賃金引上げ枠→従業員の最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にする。
  • 卒業枠→雇用拡大を行い小規模事業者を卒業する。(従業員: 商業・サービス業は6人以上、宿泊業・娯楽業・製造業・その他は21人以上に従業員を増やす。)
  • 後継者支援枠→「アトツギ甲子園」のファイナリストになった事業者が対象
  • 創業枠→「特定創業支援等事業」による支援を公募締切時から起算して過去3か年の間に受け、かつ、過去3か年の間に開業した事業者が対象
  • インボイス枠→免税事業者がインボイス(適格請求書)発行事業者登録を行う。

2022年度は第8回から第11回の4回の公募受付が予定されています。

申請にあたり、A4サイズで5ページ程度の事業計画を作成する必要があります。(Wordなどのワープロソフトで作成)

採択率は、50%~90%と応募回ごとに大きなバラツキがあります。(平均70%くらいでしょうか。)

IT導入補助金

中小企業や小規模事業者が、自社のニーズにあったITツールを導入する費用を補助する補助金です。申請可能なITツールは、IT導入補助金に事前登録されたものが対象であり、登録ITベンダーの支援を受けながら補助金申請・ITツール導入を行うものです。

2021年は、売上拡大や業務効率化を図るITツール導入を行う通常枠に加え、コロナの影響を克服するための「低感染リスク型ビジネス枠」というものが設定されていました。2022年は「低感染リスク型ビジネス枠」はなくなり、代わりに会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフト、ECソフトに特化した、「デジタル化基盤導入類型」が設定されています。2022年のITツール登録はまだ開始されておらず、詳細は今後発表になる予定でが、会計ソフトや、決済システム、ECサイト導入を検討している事業者は2022年が狙い目です!

補助率は1/2~3/4、補助上限額は150万円~450万円と、申請する枠(導入するITツールの機能・効果)によって異なります。

事業計画内容などは、電子申請サイトに入力する方式で、Wordなどで別途事業計画書を作成する必要はありません。(2022年もおそらく同じだと思います。)

採択率は約60%前後です。

ものづくり補助金

中小企業や小規模事業者が、革新的なサービス開発・製品試作開発、生産プロセス改善を行うための設備投資を補助する補助金です。ものづくり」とはありますが、製造業だけではなく、建設業や情報通信業、商業、サービス業など様々な業種で申請が可能です。(正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。)

もっとも申請が多いと思われる「通常枠」では、補助率 1/2(中小企業)・2/3(小規模事業者)、補助上限額は750万円~1250万円(従業員人数で上限が異なる)となっています。その他、賃上げ・雇用拡大の縛りの大きい「回復型賃上げ・雇用拡大枠」や、デジタル化に取り組む「デジタル枠」では補助率2/3、脱炭素技術に取り組む「グリーン枠」では、補助率2/3、補助上限額2000万円(従業員人数で上限が異なる)など、優遇条件があるため、自社の取り組みがどの枠に該当するかは公募要領を確認し検討する必要があります。

申請にあたり、A4サイズで10ページ程度の事業計画を作成する必要があります。事業計画の中で、給与支給総額の増加、地域別最低賃金+30円以上の賃金設定、付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)の増加を盛り込む必要があり、生産性向上だけではなく、雇用拡大・人件費向上に取り組む必要があります。

採択率は約45%前後です。

事業再構築補助金

新型コロナウイルスの影響を受け、既存事業の回復が当面見込めない事業者が、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応し大きく事業を転換するための挑戦を支援する補助金です。

ものづくり補助金とよく比較されますが、特徴は以下の通りです。

  • 主に設備投資が対象となりますが、建物費も補助対象となる。(ものづくり補助金では建物費は補助対象外)
  • 中小企業だけではなく、中堅企業(資本金10億円未満、資本金・出資総額の定めがない場合は従業員2000人以下)も補助対象となる
  • 新型コロナの影響により、コロナ前と比較して売上高(または付加価値額)が一定以上減少している事業者のみが対象となる。(売上高減少要件)

もっとも申請が多い「通常枠」では、補助率 2/3(中小企業)・1/2(中堅企業)、補助上限額は4000万円~8000万円(従業員人数で上限が異なる)と、補助金支給額の大きい補助金です。その他、「大規模賃金引上枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」「最低賃金枠」などが設定され、それぞれの枠ごとに補助率・補助上限額の優遇や、優先採択など優遇措置があるため、自社の取り組みがどの枠に該当するかは公募要領を確認して検討する必要があります。

「事業の再構築」には、、新たな事業分野へ進出する「新分野展開」、業種や事業を変更する「業種転換」「事業転換」、既存事業のビジネスモデルを大きく変更する「業態転換」などがあります。

申請にあたり、A4サイズで15ページ程度の事業計画を策定する必要があります。自社の取り組みが、コロナ以降の環境変化にどのように対応していくのかという緻密な経営戦略を策定する必要があり、計画策定の難易度は高めです。

採択率は約45%前後です。

補助金の比較・まとめ

紹介した4つの補助金の比較表です。細かい情報は省いていますので、参考程度にご覧ください。

小規模事業者
持続化補助金
IT導入補助金 ものづくり補助金 事業再構築補助金
補助対象
経費
機械設備費
販売促進費など
ITツール導入費
(事前登録されたもの)
設備費
(システム開発含む)
建物費・設備費
(システム開発含む)
補助
対象者
小規模事業者 中小・小規模事業者 中小・小規模事業者 中小・中堅企業
補助率 2/3 1/2~2/3 1/2(中小)、2/3(小規模) 2/3(中小)、1/2(中堅)
補助
上限額
50~200万円
(枠により異なる)
150~450万円
(枠により異なる)
750~1250万円
(通常枠)
4000~8000万円
(通常枠)
採択率 70%前後 60%前後 45%前後 45%前後


採択率は、過去の実績からの推測です。2022年公募の採択率についての公式発表などはありません。

小規模事業者持続化補助金の申請については、所在地を管轄する商工会または商工会議所が相談を受け付けています。
また、IT導入補助金についてはITベンダーが申請のサポートを行います。
ものづくり補助金や事業再構築補助金については、取引金融機関や商工会・商工会議所、よろづ支援拠点などが無料相談を受け付けている場合があります。

当事務所でも、ものづくり補助金・事業再構築補助金の申請支援を行っております。「検討している計画が補助対象になるのか?」「採択される可能性があるのか?」などの突っ込んだ無料相談も受け付けておりますので、ご希望の方はお問い合わせフォームよりご連絡ください。